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外貨建てMMFはおすすめしない?外貨預金との違いやメリット・デメリット、4つのリスクをもとに検証!

柴田 剛秀

著者:
柴田 剛秀(シバタタカヒデ)

楠本学

監修者:
楠本学(クスモトマナブ)

投稿日:2023/10/25 更新日:2024/2/8

「外貨建てMMFはどうしておすすめしないといわれるの?」
「外貨建てMMFはおすすめなの?おすすめではないの?」
「外貨建てMMFのメリット・デメリット、リスクは何?」
このような悩みを抱えていませんか?

外貨建てMMFは、海外金利の上昇から年換算利回りが大きく上昇しています。さらに、1万円の少額から始められ、わかりやすい商品設計であることから、投資初心者にも人気があります。

しかし、投資のリスクとリターンは比例関係です。メリットだけではなく、デメリットやリスクも把握していなければ、損失が生じる恐れがあります。

そこで今回は「外貨建てMMFと外貨預金との違い」・「外貨建てMMFのメリット・デメリット・リスク」についてご紹介。外貨建てMMFがおすすめな人・おすすめしない人も併せてご紹介します。この記事を読めば、あなたが外貨建てMMFを始めるべきか判断できるでしょう。

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外貨建てMMFとは

外貨建てMMFはおすすめといえるのでしょうか。外貨建てMMFとは、格付けが高い国債・地方債・社債など短期債券を中心に運用される外国投資信託の1つです。

MMFは、Money Market Fund(マネー・マーケット・ファンド)の略称です。ファンドは、投資家からお金を集めて運用する株式や債券、不動産などの商品や資金運用する業者・集団を指します。

外国投資信託は、ファンドの国籍および根拠法が外国にある投資信託です。外貨建てMMFは、外貨で運用される投資信託で高い安全性をもっています。

外貨の例としては、おもに米ドルやユーロ、ほかには南アフリカランドやトルコリラです。選択した外貨の金利水準が運用成績に反映されることになります。

外貨建てMMFの特徴として、元本割れのリスクが低いこと、流動性が高いためいつでも売買可能なことが挙げられます。安定した収益を追求しながら、利息を手堅く得られる投資信託といえるでしょう。

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外貨建てMMFと外貨預金の違いを比較

外貨投資を始めるときに、外貨建てMMFと外貨預金を検討する人は多いでしょう。ここでは、外貨建てMMFと外貨預金の違いを比較します。外貨建てMMFと外貨預金の比較一覧表は、以下のとおりです。

比較項目外貨建てMMF外貨預金
種類投資信託預金
保有中の費用管理報酬・投資顧問報酬などがかかるかからない
期待される収益分配金、為替差益利息、為替差益
税金分配金の20.315%が源泉徴収される、為替差益は申告分離課税の対象になる利息の20.315%が源泉徴収される、為替差益は雑所得として申告する必要がある
元本保証なし外貨で保証
資産保護分別管理の対象のため保全される保護なし

外貨建てMMFは投資信託、外貨預金は預金の種類に位置づけられるため、各項目で違いがあります。税金面において、外貨建てMMFは、特定口座内で株式などの譲渡損益と損益通算が可能です。

資産保護面では、仮に外貨建てMMFを購入した証券会社が破綻した場合でも、分別管理のため外貨建てMMF資産は保全されます。それぞれの異なる点を把握したうえで、外貨建てMMFの特徴をこれから詳しくみていきましょう。

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外貨建てMMFをおすすめする根拠は?3つのメリット

外貨建てMMFをおすすめする根拠は何なのでしょうか。外貨建てMMFのメリットは、以下の3つです。

外貨建てMMFのメリット:

  1. 比較的利回りがいい
  2. 売買手数料が必要ない
  3. 気軽に取引でき解約もできる

米ドル建てMMFの利回りは大幅に上昇しており、多くの個人投資家から人気を集めています。例えば、「US マネー・マーケット・ファンド」の年換算利回りは、2022年までは1%に届きませんでした。しかし、2023年9月26日時点での年換算利回りは、4.820%まで急上昇しています。高い利回りも含め、そのほかのメリットについても詳しくみていきましょう。

メリット①:比較的利回りがいい

外貨建てMMFのメリット1つ目は、比較的利回りがいいことです。外貨建てMMFの利回りは、2023年9月現在、米ドル建てで4.6~4.8%。南アフリカランド建てでは7.4%、トルコリラ建てで20.7%です。対して、円預金の金利は、メガバンクで0.002%、ネット銀行で高くても0.3%程度です。

また、運用利益である分配金(利息)は毎月末に再投資できるため、複利効果も期待できます。預金よりリスクは大きくなるものの、高金利の海外金融資産に投資することで高い利回りから利益を得られるかもしれません。

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メリット②:売買手数料が必要ない

外貨建てMMFのメリット2つ目は、売買手数料が必要ないことです。購入時手数料がないのでいつでも購入でき、解約手数料もないため手数料なしでいつでも自由に売却できます。そのため、ほかの投資方法と比べて、低いコストで外貨投資を始められる利点があります。

外貨建てMMFの売買にかかるコストは、取引金額と為替手数料(スプレッド)のみです。為替手数料は各金融機関によって異なるため、金利と併せてチェックしておきましょう。

メリット③:気軽に取引でき解約もできる

外貨建てMMFのメリット3つ目は、気軽に取引でき解約もできることです。片道25銭の為替スプレッドから取引可能であるため、10ドル程度の低コストで外貨投資できます。

外貨建てMMFは満期がなく、買付した翌営業日から売却可能。国内MMFとは異なっていつでもペナルティなしで解約でき、手数料を取られることもありません。たとえ預けている証券会社が倒産しても、資産が保全される安心感もあります。

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外貨建てMMFをおすすめしない根拠は?3つのデメリット

外貨建てMMFのメリットを理解したところで、ここからはデメリットをご紹介します。外貨建てMMFをおすすめしない根拠となるデメリットは、以下の3つです。

外貨建てMMFのデメリット:

  1. 元本が保証されない
  2. 信託報酬を支払わなければならない
  3. 取引できる銘柄が少ない

投資において、リスクとリターンは比例関係といえます。外貨建てMMFのメリットだけでなく、デメリットもきちんと把握したうえで投資を始めるか検討しましょう。

デメリット①:元本が保証されない

外貨建てMMFのデメリット1つ目は、元本が保証されないことです。日本国内の金融機関では、預金者1人あたり1金融機関ごとに元本1,000万円までは破綻日までの利息とともに全額保護されます。この制度を預金保険制度といい、定期預金や利息のつく普通預金などが対象です。

外貨預金は外貨ベースでの元本保証はありますが、円に交換した際、受取金額が預け入れ金額を下回るかもしれません。外貨建てMMFは外貨ベースの元本保証もなく、元本割れする可能性もあることに注意する必要があります。

デメリット②:信託報酬を支払わなければならない

外貨建てMMFのデメリット2つ目は、信託報酬を支払わなければならないことです。信託報酬とは、投資信託を保有している投資家が投資信託の運用・管理にかかる経費として負担する費用のことです。

プロのファンドマネージャーに任せて運用するため、人件費などが発生します。そのため、成果報酬や運用成績にかかわらず、信託報酬を支払わなければなりません。MMFの利回りの大まかな計算方法は、以下のとおりです。

例:短期国債の利回り4.8%ー信託報酬0.7%=MMFの利回り4.1%

信託報酬の割合や額は、交付目論見書・運用報告書の運用管理費用(信託報酬)の項目に記載されています。購入前に必ず確認しておきましょう。

デメリット③:取引できる銘柄が少ない

外貨建てMMFのデメリット3つ目は、取引できる銘柄が少ないことです。国内株式の銘柄数は、2023年9月26日時点で3,907銘柄。投資信託の銘柄数は、2022年で5,888銘柄です。

対して、外貨建てMMFは各証券会社に5銘柄程度しか用意されていません。取引できる銘柄の選択肢が限られているため、そのほかの金融商品と併せて検討することをおすすめします。

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外貨建てMMFで想定される4つのリスク

外貨建てMMFは、メリット・デメリットとともにリスクも想定しなければなりません。外貨建てMMFで想定されるリスクは、以下の4つです。

外貨建てMMFのリスク:

  1. 為替変動リスク
  2. 価格変動リスク
  3. 金利変動リスク
  4. 償還リスク

投資にリスクはつきものです。これからご紹介する4つのリスクを把握して、リスクをうまくコントロールする必要があります。投資のリスクは、中長期的な視点で分散投資することで回避していきましょう。

外貨建てMMFのリスク①:為替変動リスク

外貨建てMMFのリスク1つ目は、為替変動リスクです。為替変動リスクとは、為替相場の変動により、外貨建ての資産を円換算した場合に価値が変動する可能性のことです。

換金時に円安になっていれば、円での受取額が増えて利益を得られます。しかし、円高になっていれば、円での受取額が減ってしまい、損失が生じてしまいます。円と外国通貨との為替相場は、一方が高くなれば、もう一方は低くなる関係にあることを覚えておきましょう。

外貨建てMMFのリスク②:価格変動リスク

外貨建てMMFのリスク2つ目は、価格変動リスクです。価格変動リスクとは、購入時価格より売却時価格が増減する可能性があるリスクのことです。

外貨建てMMFは、元本割れのリスクが低く、高い格付け商品を取り扱っています。しかし、元本割れする可能性も否定できません。ほかの外貨投資より少ないものの、外貨建てMMFでも価格変動リスクは必ず考慮しなければならないリスクです。

外貨建てMMFのリスク③:金利変動リスク

外貨建てMMFのリスク3つ目は、金利変動リスクです。金利変動リスクとは、金利の変動によって債券価格が変動するリスクのことです。

金利が低下した場合は債券価格が上昇し、金利が上昇した場合は債券価格が下落します。また、債券価格が上昇すれば利回りは低下し、債券価格が下落すれば利回りは上昇することを意味します。金利と債券価格は、反比例の関係にあることを覚えておきましょう。

外貨建てMMFのリスク④:償還リスク

外貨建てMMFのリスク4つ目は、償還リスクです。償還とは、投資信託や債券が満期を迎えた際、投資家にお金を返還して運用を終了することです。

償還日は運用レポートや目論見書に記載されていますが、償還日が無期限である投資信託も多く存在します。たとえ無期限であっても、運用成績が悪かったり、資産が少なくなったりすれば、償還日前でも償還されます。

純資産額(投資信託が保有する資産)が低減していないかを目安に、償還日を事前に確認しておきましょう。

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外貨建てMMFをおすすめしないのはこんな人

外貨建てMMFの特徴がわかりました。それでは、外貨建てMMFをおすすめしないのはどのような人なのでしょうか。外貨建てMMFをおすすめしない人は、以下のような人です。

外貨建てMMFをおすすめしない人:

  • 元本割れが許容できない人
  • 長期または短期投資を考えている人

外貨建てMMFは安全性の高い投資信託ですが、元本割れする可能性はゼロではありません。なお、元本割れを許容できないのであれば、外貨建てMMFは避けましょう。

また、外貨建てMMFはデイトレードなどの短期売買するものでもなければ、3~5年と長期投資するものでもありません。数か月~1年ぐらい、遊ばせておく余剰資金があるなら、MMFを利用する意味があるでしょう。

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外貨建てMMFをおすすめするのはこんな人

では、逆に外貨建てMMFをおすすめするのはどのような人なのでしょうか。外貨建てMMFがおすすめな人は、以下のような人です。

外貨建てMMFがおすすめな人:

  • 今すぐ日本円を外貨に換えたい人
  • 株を売買する繋ぎで置いておきたい人

外貨建てMMFは、余剰資金を一時的に置いておく場所と捉えましょう。例えば、外国株の配当金や分配金をドルで置いておかずにMMFにする。外国株の買い付け資金を再投資するまで、円からドルに替えてMMFにしておくなどです。マネーリテラシーが高い人は、外貨建てMMFを活用している傾向にあります。

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まとめ:リスクも知ったうえで外貨建てMMFを始めよう

外貨投資を始める際、外貨建てMMFと外貨預金を比較して検討する人は多いでしょう。外貨建てMMFと外貨預金は、税金面や元本保証など多くの点で異なります。外貨建てMMFが注目されるのは、海外金利の上昇から年換算利回りが大幅に上昇しているからです。

外貨建てMMF純資産残高1位である「US マネー・マーケット・ファンド」の年換算利回りは2021年中頃には0.1%程度でした。しかし、2023年9月26日現在、4.820%まで急上昇しています。そのため、投資初心者も含め、外貨建てMMFは人気のある投資商品です。

外貨建てMMFは売買手数料無料・少額投資可能・積立にも対応している魅力がありますが、デメリットやリスクも存在します。外貨建てMMFのメリット・デメリット・リスクも知ったうえで、外貨建てMMFを始めましょう。

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著者

柴田 剛秀

柴田 剛秀(シバタタカヒデ)

大手来店型保険ショップに8年間勤務。
1000組以上の保険相談・資産運用・ライフプランニング
をしてきました。
これまでの経験を活かし、特定の商品にこだわることな
く真のライフパートナーとして、お客様にとって大切な
現在・未来の安心をご提供致します。
妻(同い年)・長男(10歳)・長女(5歳)の4人家族
【経歴・資格】AFP・宅地建物取引士
【得意分野】資産形成、資産運用、生命保険、不動産投資
【趣味】漫画、テニス

監修者

楠本学

楠本学(クスモトマナブ)

楠本 学 くすもとFP事務所
FP1級技能士/AFP/証券外務員
・日本FP協会主催「CFP30周年記念プロモーション動画コンテスト 最優秀賞受賞」
・商品を販売しない独立系ファイナンシャルプランナーとして、資産運用・家計管理・住宅購入・保険見直しなど、次々と押し寄せる不安の波を、お客様の立場に立って将来にわたり安心できるアドバイスを行っている。
FP志望者の育成・教育にも携わっており、FP資格試験対策本も出版。