「我が家の年収に合った生活レベルはどの程度?」
「みんなはどれくらいの収入があるの?」
「生活レベルを上げるにはどうすればいい?」
と悩んでいませんか?
現在の自分の生活水準が世帯年収に見合っているのか、自分で判断するのは難しいもの。もう少し生活レベルを上げられると思って贅沢をしたら、給料日前に懐が苦しくなって困ったエピソードはよく聞く話です。
実は、世帯年収と世帯構成の組み合わせから、生活レベルの目安は分かります。そこで、ここでは世帯年収の現状や世帯年収と世帯構成から見える生活レベル、世帯年収を増やす方法を順番にお伝えします。
CONTENTS
一般的な世帯年収はいくら?世帯構成・年齢・地方別に確認
それでは、政府が公表しているデータをもとに、一般的な家庭の世帯年収を見ていきましょう。世帯年収は、世帯の構成・世帯主の年代・住んでいる地域によって変わります。それゆえ、あなたの生活レベルをより正確に判断するためには、あなたの生活状況に近い条件の年収情報を用いて評価しましょう。
全世帯の平均年間所得金額は545.7万円
まずは全体的な平均年収を見てみましょう。
世帯構成 | 1世帯当たりの平均年間所得金額 |
---|---|
全世帯 | 545.7万円 |
高齢者世帯 | 318.3万円 |
高齢者世帯以外の世帯 | 665.0万円 |
児童のいる世帯 | 785.0万円 |
参照元:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
2022年度の日本全体の平均年収は545.7万円でした。そして、児童のいる世帯の平均年収は785.0万円という結果に。高齢者世帯を除いた世帯よりも子育て世帯の平均年収が120万円高い結果から、子育てにそれだけ費用がかかると推察されます。
世帯主の年齢別の平均年間所得は50代がピーク
つづいては、世帯主の年齢別の平均年収を見ていきます。
世帯主の年齢 | 1世帯当たりの平均年間所得金額 |
---|---|
29歳以下 | 377.5万円 |
30~39歳 | 627.2万円 |
40~49歳 | 728.5万円 |
50~59歳 | 742.1万円 |
60~69歳 | 589.4万円 |
70歳以上 | 391.2万円 |
参照元:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
世帯主が50代になるまでは平均年収は増加傾向ですが、60代以降は減少していきます。この原因は、50代を過ぎると役職定年や定年退職など収入が減る時期に入るためと考えられます。同年代の平均年収と比較して自分の年収レベルを確認し、今後の年収の傾向を踏まえて将来への備えも進めましょう。
地方別の平均年間所得金額は東京都・東海地方が高額
年収は、住まいの地域の影響を受けます。企業は、従業員の住む地域の特性も勘案して給与を検討するためです。総務省の調査によると、地方別の世帯年収の上位5つと最下位は以下の結果となりました。
順位 | 都道府県 | 年間収入 |
---|---|---|
1位 | 東京都 | 629.7万円 |
2位 | 神奈川県 | 615.4万円 |
3位 | 愛知県 | 613.4万円 |
4位 | 富山県 | 612.4万円 |
5位 | 福井県 | 608.8万円 |
… | … | … |
47位 | 沖縄県 | 423.3万円 |
参照元:総務省「2019年全国家計構造調査所得に関する結果」
都道府県別の消費支出額を比較すると、首都圏や東海地域が上位に並びました。また、最下位は沖縄県という結果に。同じく総務省の調査によると、東京都と神奈川県は物価水準が高く、1位・2位でした。(参照元:総務省「2021年(令和3年)消費者物価地域差指数」)平均年収が高いからといって、必ずしも余裕のある生活水準であるとは限らないようです。
世帯年収における住居費・貯蓄の割合の目安
世帯の家計における住居費と将来に向けた貯蓄は、家計における予算枠を決めておくのがおすすめです。特に住居費は家計比率が大きく、貯蓄は備えとして重要なため、配分する割合が重要です。
それぞれの費用項目における収入に対する具体的な目安の比率は以下の通り。
世帯年収における住居費・貯蓄の目安:
- 住宅ローン・家賃は収入の20~30%が目安
- 貯蓄は収入の10~15%が理想的な目安
家計に対する比率に従って支出をコントロールしながら、無理のない生活を営みましょう。
①住宅ローン・家賃は収入の20~30%が目安
家計に占める住宅ローン・家賃は収入に対して20~30%に収めるのが目安です。国土交通省の「住宅市場動向調査報告書」によると、住宅ローンの返済額も賃貸費用も年間収入の20%弱に収まっています。これは、収入から税金が引かれた手取りで換算すると、負担感はおよそ20~30%です。
住居費は家計に占める割合が高い費用項目です。理想としては可能な限り世帯年収の20%程度に抑えて、家計に余裕を作り出しましょう。
②貯蓄は収入の10~15%が理想的な目安
将来や万一の備えとして、収入の10~15%程度を貯蓄に回すのが理想的です。日本銀行の調査によると、手取りから貯蓄する金額は平均すると11%です。(参照元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」)
手取りは収入から税金が差し引かれた後の金額のため、収入に対する貯蓄額の割合は10%未満と想定されます。そのため、収入に対して10%以上の貯蓄ができると、一般的な世帯よりも貯蓄ができていると考えられます。万一の際に保険が十分に保障してくれない場合もあるため、ある程度の貯蓄ができるよう家計の工夫をしましょう。
世帯年収ごとの単身および子どもがいる3人世帯の生活レベル
世帯年収で生活レベルは大きく変わりますが、世帯構成も大きく影響します。例えば、同じ年収でも単身世帯に比べると、子どもがいる3人世帯だと食費などの生活費は2人分増え、学費もかかるためです。
そこで、ここからは世帯年収ごとに生活レベルの変化を、単身世帯と子どもがいる3人世帯を用いて比較整理します。
世帯年収ごとの生活レベル:
- 世帯年収500万円
- 世帯年収750万円
- 世帯年収1,000万円
- 世帯年収1,500万円
世帯年収別の生活レベルや世帯構成を踏まえ、収入や家計の見直しをしてみましょう。
世帯年収500万円の単身および子どもがいる3人世帯の生活レベル
世帯年収が500万円の場合、単身世帯ならば十分生活できます。しかし、子どもがいる3人世帯は、収入を増やさないと生活に支障が出る可能性があります。
費用 | 割合 | 金額 |
---|---|---|
月収 | ー | 41万6,667円 |
住居費 | 25~30% | 10万4,167円~12万5,000円 |
税金・社会保険料 | 15~25% | 6万2500円~10万4,167円 |
貯蓄 | 10~15% | 4万1,667円~6万2,500円 |
自由に使うお金 | 10% | 4万1,667円 |
生活費 | 25~35% | 10万4,167円~14万5,833円 |
年収500万円だと住居費の目安は10万円程度のため、単身世帯でも郊外でないと物件探しは難しいかもしれません。生活費も工夫してギリギリの予算です。
一方、子どもがいる3人世帯が住める広さの部屋を借りるのは難しく、生活費も相当なやりくりをしないと乗り切れない水準です。そのため、世帯年収500万円の子どもがいる3人世帯は、共働きなどで収入を増やすことが何よりも重要です。
世帯年収750万円の単身および子どもがいる3人世帯の生活レベル
世帯年収が750万円の場合、単身世帯ならば不自由なく生活できます。ただし、子どもがいる3人世帯にとっては十分な収入とは言えない可能性があります。
費用 | 割合 | 金額 |
---|---|---|
月収 | ー | 62万5,000円 |
住居費 | 25~30% | 15万6,250円~18万7,500円 |
税金・社会保険料 | 15~25% | 9万3,750円~15万6,250円 |
貯蓄 | 10~15% | 6万2,500円~9万3,750円 |
自由に使うお金 | 10% | 6万2,500円 |
生活費 | 25~35% | 15万6,250円~21万8,750円 |
年収750万円になると住居費が15~19万円となるため、単身者ならば都心部でも物件の選択肢が増え十分な金額です。子どもがいる3人世帯でも、郊外なら子ども部屋も確保できる物件を見つけやすくなります。生活費も工夫次第で過ごせるでしょう。
ただし、問題は学費です。仮に子どもを私立中学校に通学させると、必要な学費は月平均12万円程度。貯蓄や自由に使うお金をほとんど学費に回さなければなりません。子どもが小さい時期に貯蓄や資産運用を行い、多くの学費がかかる時期までに備えをしておきましょう。
関連記事:
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世帯年収1,000万円の単身および子どもがいる3人世帯の生活レベル
世帯年収1,000万円の場合、単身世帯ならば衣食住に不自由ない生活ができますが、子どもがいる3人世帯だとまだ油断できません。
費用 | 割合 | 金額 |
---|---|---|
月収 | ー | 83万3,333円 |
住居費 | 25~30% | 20万8,333円~25万0,000円 |
税金・社会保険料 | 15~25% | 12万5,000円~20万8,333円 |
貯蓄 | 10~15% | 8万3,333円~12万5,000円 |
自由に使うお金 | 10% | 8万3,333円 |
生活費 | 25~35% | 20万8,333円~29万1,667円 |
年収1,000万円になると、単身世帯ならば都心部でも広い部屋に住め、生活費も余裕があり貯蓄も無理なく進められます。子どもがいる3人世帯でも衣食住の合計予算は十分ですが、学費用の財源が心配です。
世帯年収が1,000万円になると、公的な支援制度が受けられなくなってきます。例えば、高等学校等就学支援金制度は世帯年収が約910万円未満でなければ受けられません。定額授業料・全日制の公立高等学校だと月9,900円、合計35万6,400円の支援が受けられなくなります。学費は、確実に捻出できるよう前もって確保しておきましょう。
関連記事:
世帯年収1000万の割合は?手取りと年収の違いや影響を徹底解説
世帯年収1,500万円の単身および子どもがいる3人世帯の生活レベル
世帯年収1,500万円の場合、単身世帯ならば余裕ある生活ができ、子どもがいる3人世帯でも学費の心配が少なくなります。
費用 | 割合 | 金額 |
---|---|---|
月収 | ー | 125万0,000円 |
住居費 | 25~30% | 31万2,500円~37万5,000円 |
税金・社会保険料 | 15~25% | 18万7,500円~31万2,500円 |
貯蓄 | 10~15% | 12万5,000円~18万7,500円 |
自由に使うお金 | 10% | 12万5,000円 |
生活費 | 25~35% | 31万2,500円~43万7,500円 |
年収1,500万円での住居費・生活費の合計は60万円を越えるため、単身世帯ならば希望の生活を実現できます。一方、子どもがいる3人世帯も60万円の住居費・生活費があれば、不自由を感じない生活ができるでしょう。学費も貯蓄分や自由に使うお金も合わせれば、月30万円ほどは確保できる見込みがあります。
ただし、年収1,500万円になると、児童手当は上限所得を超えるため支給されません。もちろん、高等学校等就学支援金制度も受けられないので、しっかり念頭に置いておきましょう。将来的に世帯年収1,500万円を維持し続けられる保証がなければ、早めに学費の財源を確保しておくのがおすすめです。
世帯年収を増やして生活レベルを上げる2つの方法
世帯年収を増やす効果的な方法は、2パターンあります。
生活レベルを上げる方法:
- 片働きの世帯は共働きを検討する
- 給与のいい仕事に転職をする
生活レベルを改善するためには節約も大切ですが、限度があるため世帯収入を増やす方法を検討しましょう。
①片働きの世帯は共働きを検討する
現在、片働き世帯ならば、共働きにすると必然的に世帯年収を増やせます。正社員でなくても106万円以上の収入など一定の条件を満たすと厚生年金にも加入可能。将来のために年金額を増やすこともできます。
106万円以上の収入だと手取りが減る「年収の壁」もありますが、政府も問題視して2023年10月から問題解消を図ろうとしています。世帯年収の増加は家計の改善に直結するため、家計が苦しい場合には共働きを選択肢として検討しましょう。
②給与のいい仕事に転職をする
待遇のいい会社に転職できれば、世帯年収の増加に効果的です。厚生労働省の調査によると、転職で給与が増えた人は全体の39.0%。3割以上増えた人は7.2%でした。(参照元:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況|個人調査」)
転職が一般化した現在において、年収を増加したいならば賃金増加を待つだけでなく転職も有効な選択肢です。転職に興味があるなら早めに転職活動をして、市場におけるあなたの価値や評価を確認してみましょう。
まとめ:世帯年収や家族構成に合わせた生活レベルにしよう
この記事では、世帯年収の動向とともに収入別の生活レベルや生活レベルを上げるための収入アップ方法を解説しました。生活レベルは世帯年収と世帯構成が大きく影響します。
そのため、自分の世帯の適正な生活レベルを見極めるには、世帯年収のみでなく、家族構成やライフプランをしっかり考えなければなりません。現在の生活レベルを正しく評価して、生活レベルアップに必要な対策を把握して今できることを順番に進めましょう。