マイホームの資金はどのくらい必要?頭金の目安や購入後に残すべき金額を解説

柴田 剛秀

著者:
柴田 剛秀(シバタタカヒデ)

投稿日:2024/8/16 更新日:2024/9/9

「マイホーム資金にはいくら必要?」
「マイホーム資金の予算はどう決めれば良い?」
上記のような疑問を抱えている方はいませんか?

マイホーム購入は人生の三大出費とも呼ばれており、購入する物件の種類や立地次第では5,000万円以上の費用が発生することもあります。 周囲にマイホームを建てた人がいなくて、資金繰りについて相談するのも難しい人もいるのではないでしょうか?

いざマイホームを購入するときに困らないように必要資金を理解し、今のうちに自己資金や住宅ローンの資金計画を立てておきましょう。

本記事ではマイホーム資金で必要な資金の種類や金額、住宅ローンの概要や予算の決め方などをご紹介します。また、購入後に残すべき現金の額や自己資金を用意するコツなども紹介します。

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マイホーム購入に必要な3つの資金とは

マイホームを購入しようと考えていても、「どのくらいの資金が必要になるのか分からない…」とお悩みの人もいるでしょう。

高額なマイホームの資金計画を立てるには、何にどれくらいの費用が発生するかを事前にイメージすることが大切です。

マイホームを購入する際に必要な資金としては、主に以下の3つがあります。

①購入費用

建物や土地、マンションの一室などを購入する際にかかる費用のことです。3つの支出のなかで最も大きな割合を占める費用であり、一般的には購入時に1~2割の現金で支払い、残りをローンで支払います。

住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2022年度)」によると、住宅購入に必要な費用は種類ごとに以下のように異なります。

所要資金の平均額(万円)
注文住宅3,717
土地付き注文住宅4,694
建売住宅3,719
マンション4,848
中古一戸建て2,704
中古マンション3,157
参考:住宅金融支援機構|フラット35利用者調査2022年度

どのような物件を希望するかにもよりますが、住宅の購入費用として最低でも2,500万円が必要ということが分かります。土地付き注文住宅やマンションを購入したり、注文住宅と別に土地を購入したりする場合、5,000万円前後の費用がかかることもあるでしょう。

②購入時の諸費用

購入時の諸費用は、住宅購入の際に住宅本体とは別に発生する「初期費用」のようなものです。住宅ローン契約にかかる費用のほか「引っ越し費用」も諸費用に含まれます。

マンションか戸建てか、新築物件か中古物件かによっても必要になる金額に差が生じることがあります

あくまでも目安ですが、新築マンションでは購入価格の3~5%、一戸建ての場合は5~10%くらいの諸費用がかかるとされています。

仮に5000万円のマンションを購入した場合の諸費用の目安は150万円~250万円、一戸建ての場合には250万円~500万円といった具合です。住宅ローンを組む際に、諸費用までカバーできれば現金が少なくてもマイホーム購入に近づくでしょう。

③維持費

マイホームを購入する際は、購入時の費用だけでなく維持費の準備についても考える必要があります。

例えばマンションの場合、毎月の維持費として「修繕積立金」の負担が必要です。駐車場を契約するなら駐車場代もかかりますし、いずれはリフォーム費用も発生します。

一戸建ては修繕積立金の負担はないものの、いずれ外壁塗装やリフォームが必要になったときは自分で修繕の手続きをする必要があります。購入の時点で自宅のメンテナンス費用を貯めることを前提とした資金計画を立てる必要があるでしょう。

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マイホームの資金にはいくら必要?「自己資金」「年間返済額」「返済期間」をチェック

数千万円の購入費用だけでなく、諸費用や維持費まで高額なお金がかかる住宅購入。お金がなくて諦めてしまいそうになる方もいるかもしれませんが、諦める必要はありません。

住宅ローンで購入費用を借りれば、自己資金が少なくてもマイホームを購入することは十分に可能です。

ここでは、自己資金がいくら必要なのか、住宅ローンの年間返済額と返済期間を紹介します。自己資金が用意でき、住宅ローンの返済が可能であれば、マイホームを購入することに問題ないと判断できます。

①自己資金の平均は新築物件なら約500万円~800万円

住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2022年度)」によると、頭金の金額と割合は以下のとおりです。

頭金の平均額(万円)住宅購入費用に対する頭金の割合
注文住宅641.217.3%
土地付き注文住宅449.69.6%
建売住宅317.78.5%
マンション987.820.4%
中古一戸建て274.310.1%
中古マンション528.916.8%
参考:住宅金融支援機構|フラット35利用者調査2022年度

購入する住宅の種類によっても頭金の割合は異なりますが、おおむね10~20%の頭金を用意している世帯が多いことが分かります。金額でみれば、300万円~1,000万円くらいを自己資金で賄っているようです。

新築物件の一戸建てまたはマンションを購入する場合には、500~1,000万円が頭金の1つの目安になるでしょう。頭金が多いほど住宅ローンの審査でも一般的には有利とされています。住宅ローン審査を通過するためにも頭金をしっかり揃えましょう。

ただし、頭金が揃うまでマイホームを探さないでいると理想的な住宅がほかの人に購入されてしまうこともあります。頭金の金額が理想的な金額に届かなくても物件を購入できるか、周囲や不動産業者にも相談してみましょう。

②年間返済額の平均は約100~150万円

国土交通省の令和4年度 住宅市場動向調査報告書によれば、住宅の種類ごとの年間返済額の平均は以下のとおりです。

年間返済額の平均(万円)
注文住宅174
分譲戸建住宅126.6
分譲集合住宅148.1
中古戸建て住宅106.7
中古集合住宅101.3
リフォーム住宅75.6
参考:国土交通省|令和4年度住宅市場動向調査報告書

住宅ローンを組む場合の年間返済額は住宅の種類によっても異なりますが、おおむね100~150万円ということが分かります。150万円だとしても月々の支払いは12万5,000円です。

現役世代で働いている方であれば、十分に返済できる金額と判断できるでしょう。

③返済期間は平均で25~35年

国土交通省の令和4年度 住宅市場動向調査報告書によれば、住宅の種類ごとの返済期間の平均は以下のとおりです。

返済期間の平均(年)
注文住宅(建築)
※住宅建築における借入金の返済期間
32.8
注文住宅(土地)
※土地購入における借入金の返済期間
34.5
分譲戸建住宅32.7
分譲集合住宅29.7
中古戸建住宅28.4
中古集合住宅28.5
リフォーム住宅16.1
参考:国土交通省|令和4年度住宅市場動向調査報告書

返済期間は25年から35年がかかることが多いようです。特に新築かつ戸建ての場合、平均的な返済期間は30年以上の長期にわたります。

例えばいま30歳の人が35年ローンを組むと完済時は65歳です。現役世代のうちに完済できるため、住宅ローンの返済に困ることは少ないと考えられます。

「何歳まで働くのか」は自分だけでなく、家族にとっても重要なポイントです。返済期間については配偶者や家族とも相談して決めていきましょう。

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マイホーム資金は現金だけでなく「住宅ローン」が利用できる

マイホームを購入するのに、全額を一括現金払いで支払える方はほとんどいません。前述のとおり頭金を用意して一部を現金で支払い、残りは住宅ローンを組んで長期的に返済していくことが一般的です。

ただし、住宅ローンは金融機関からの借金であり、返済の際は元金と合わせて利息を返済することになります。

住宅ローンに申し込む前に、住宅ローンの種類や金利などの特徴を把握できるようにしておきましょう。

住宅ローンのタイプには2種類がある

住宅ローンには大きくわけて以下の2種類があります。

  • 公的ローン
  • 民間ローン

公的ローンは住宅金融支援機構などの公的機関が貸主のローンで、有名なローンとしては「フラット35」などがあります。

一方の民間ローンは、民間の銀行などが提供している住宅ローンのことです。

民間ローンは金融機関ごとに金利や付帯サービスなどが異なり、複数の金融機関を比較してより良い条件の住宅ローンを選ぶことができます。

公的ローンのフラット35は全期間固定型であり、市場金利の動向に関係なく返済額が一定になるというメリットがあります。取り扱う商品が民間銀行と比べれば少ないですが、仕組みを比較しやすい点も特徴です。

住宅ローンの金利には3種類がある

住宅ローンに申し込む前に、多くの人が「金利」に注目します。金利が低ければ、同じ金額を借りても安い利息負担で済むためです。

ただ、金利が低いだけでなく、金利タイプごとの特徴を押さえておくことをおすすめします。商品ごとの金利の動き方を知ることで、市場金利の動向に合う商品を探しやすくなります。

住宅ローンの金利タイプは、主に以下の3つです。

全期間固定型

フラット35などの公的ローンに採用されている、全期間の金利水準が契約時に決まって固定されるタイプのローンです。毎月の返済額や返済総額が固定であり、毎月の返済計画を立てやすいメリットがあります。

ただし、仮に市中金利が下がる場合でも返済額が安くなることはありません。また、変動型と比較して高めの金利が設定されるため、返済総額を安くすることにこだわるなら変動型がおすすめです。

変動金利型

金利情勢の変化によって、適用金利が変動する可能性がある金利タイプです。固定金利よりも金利が低く、市場金利が下がった場合には毎月の返済額も一定期間後に安くなるメリットがあります。

ただし、市場金利が上がった場合には、一定期間経過後に利息負担が増すデメリットもあります。
固定金利期間選択型
契約してから一定期間は金利が固定され、固定金利の期間が終了したあとは変動金利や固定金利を選択できるタイプです。

固定金利と変動金利の両方のメリットを享受できる魅力があります。ただし、返済額が長く確定せず、固定期間終了後に変動金利を選ぶと市場金利の変動で返済計画に修正が必要になる可能性もあります。

住宅ローンの返済方法には2種類がある

住宅ローンを借りたあとは、もちろん返済する必要があります。元金だけでなく利息の支払いも必要ですが、毎月どのような比率で利息を返済するかによって、以下の2種類の返済方法に分かれます。

元利均等返済

元金と利息を足した毎月の返済額が一定になる返済方法です。毎月の返済額が完済までほぼ変わらないため、返済計画が立てやすいメリットがあります。また、後述する元金均等返済と比較して、返済開始当初の返済金額が少なくて済む点も魅力です。

ただし、元金の減り方が元金均等返済よりも遅く、返済総額と利息負担が多いデメリットもあります、
元金均等返済
毎月の元金返済額が同じで、そこに利息の返済が加わるタイプです。元金と利息を合わせた返済額は返済が進むごとに安くなるため、返済負担は徐々に小さくなっていきます。

また、返済開始から元利均等返済よりも多くの元金を返済できるため、返済期間が同じであれば返済総額が安いというメリットもあります。

一方、返済開始当初は利息負担が大きい点がデメリットです。

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マイホーム資金の予算の決め方

マイホーム資金の種類や頭金の割合、住宅ローンの内容が理解できたあとは、マイホーム資金の予算を決めることになるでしょう。

ここでは、マイホーム資金の予算を決める際の流れとポイントを、STEPごとに分けて解説します。

STEP1:家の購入額と用意できる現金の額を決める

マイホームに使う金額を決める際は、どのくらいの現金を住宅購入に利用するか決めましょう。

このとき、持っている現金を全額利用しないように注意が必要です。住宅の購入やリフォームに全て利用してしまうと、新居への引っ越しなどの入居費用が出せません。また、入居して貯金をし直す前に病気やケガで入院して高額な入院費用の負担が必要になる可能性もあります。

頭金にする住宅資金を準備するときは、貯金から「入居費用」「住宅の購入後のトラブルに備えるお金」を差し引いた金額にしましょう。

引っ越し費用は新居と現住所の距離や荷物の量によっても異なるため、事前に試算しましょう。家具購入費用も家の間取りで異なりますが、50~100万円ほど準備したほうが良いでしょう、

ケガや病気など万が一の際に備える費用としては、生活費の3ヵ月分~4ヵ月分を目安に残すのがおすすめです。

3ヵ月~半年の根拠になるのは「失業保険の基本手当(いわゆる失業保険)を受給できるタイミングです。

会社が倒産したり会社都合で解雇されたりした場合、約1ヵ月後から失業手当(基本手当)を受給できます。自己都合による退職は退職からおよそ4ヵ月後からの受給開始です。

失業してから失業手当を受け取れるまでに要する期間は人によって異なるため、自己都合退職しても良いように、3ヵ月~4ヵ月分くらいの生活費は貯めておきたいところです。

STEP2:計画的に返済できる金額で住宅ローン借入額を決める

住宅ローンの借入額は、金融機関でシミュレーションすることができます。ただし、「借りられる金額」と「借りても返済できる金額」は同じではありません。

例えばフラット35の場合、最大35%の返済比率になるような金額まで借り入れできますが、一般的に安心して返済するなら返済負担は25%以下に抑えると良い」とも言われています。

例えば年収500万円の方が金利1.5%で35年ローンを組む場合、返済負担25%だと毎月の返済額は約10万7,165円、借り入れできる総額は3,500万円です。35年の返済総額は約4,500万円になります。

一方、返済負担率が35%では4,800万円まで借り入れできますが、毎月の返済額は14万6、969円まで上がります。返済総額は約6,200万円にもなり、毎月の返済が返済比率25%よりも各段に難しくなります。

毎月の返済額が、ご自身が間違いなく返済できる金額に収まるような返済比率を考えましょう。

STEP3:住宅資金とローン借り入れ額から「購入できる価格」を考える

STEP1とSTEP2で決めた、「購入時に支払う現金」と「住宅ローン借り入れ額」の合計が、マイホーム購入のために出費できる最大額です。

ただし、借りたお金の全額を住宅のために利用できるわけではありません。「頭金と住宅ローンの合計額から「諸費用」を差し引くことで、物件価格(購入できる金額)」が算出できます。

諸費用の金額は正確に試算しないと算出できませんが、大まかな目安は以下のとおりです。

  • 一戸建て:購入価格の5%~10%
  • 新築マンション:物件価格の3%~5%
  • 中古マンションは5%~8%

例えば自己資金(頭金)で500万円、住宅ローンで4,000万円を借りる人が新築の一戸建てを購入する場合、諸費用を購入価格の8%と仮定すると「マイホームを購入できる価格」は以下のとおりです。

(4,000万円+500万円)÷1.08=約4,170万円

なお、土地を購入して建物を建てる場合には、「土地代」と「工事代金」の合計額が購入予算内におさまるようにしなければいけません。

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マイホーム資金を用意するときに一緒に考えたいポイント

マイホームの購入は大きな買い物であり、どうしても住宅ローンや頭金と言った大きなお金にばかり注目してしまいがちです。

ただ、購入に関するお金以外に、考えておかなければいけないことはほかにも多くあります。

ここではマイホーム購入前に知っておきたい、住宅購入に関連する控除、保険などの細かなポイントをご紹介します。

住宅ローン控除

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して家を購入する人が一定要件を満たした場合に、所得税などの一部が控除される制度です。

毎年の住宅ローン残高の0.7%を最長で13年間(令和7年12月末までの新築住宅への居住開始まで)の長期にわたって所得税が控除され、所得税から控除されない分は住民税からも控除することができます。

住宅ローン控除の適用条件である「令和7年12月末までの入居開始」の期限が刻一刻と迫っています。

いまマイホームを検討されている方は、住宅ローン控除が適用されているうちに購入するほうが良いでしょう。住宅ローン控除を利用することで税金が減額になり、手元に残すお金を増やせます。

火災保険・地震保険への加入

住宅ローンを利用する場合、原則として火災保険への加入が必要です。万が一火災保険に加入しないままでいると、火災で家を失ったあともローンの返済を続けながら新しい住まいを準備するなど金銭的な負担はさらに大きくなります。

基本的には住宅を購入する不動産会社から案内があるので自分だけで手続きする必要はありませんが、「保障の始期が物件の引き渡しと同時になっていること」を事前に確認しましょう。

また、火災保険には地震で発生した災害への保障は含まれません。地震による建物の倒壊や地震による火災、地震が原因の噴火や津波に対して補償を受けるなら地震保険に必ず加入しましょう。

生命保険の加入内容の見直し

意外と見落としがちなのが、マイホームの取得に伴う生命保険の見直しです。

住宅ローンでは団体信用生命保険に加入するため、万が一住宅ローンの債務者が死亡や高度障害状態になった場合は、保険金で住宅ローンの全額が完済されます。

これまで賃貸に住んでいて、夫が死亡したことで家賃が支払えなくなるリスクに備えて死亡保険を契約していた方は、マイホームの取得を機に保険の解約や保険金額の減額ができる可能性があります。

保障内容が重複していると余計な保険料を払うことで手元に残るお金が減るため、保障は徹底的に見直しましょう。

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マイホーム資金を考えるさいの注意点

最近は頭金ゼロのフルローンに対応した住宅ローンなども登場しており、手元に現金がなくても審査さえ通過すればマイホーム資金の融資を受けることは可能です。

ただ、住宅購入だけに意識がいってしまうと、あとから利息の返済が大きくなったり、諸費用や維持費が支払えなくなったりして苦労するかもしれません。

ここでは、マイホーム資金を考える際に事前に知っておきたいポイントを解説します。いざマイホームを購入してローンを返済し始めてから後悔しないよう、これから紹介する内容は読み進めておきましょう。

頭金ゼロでローンを組むのはリスクが大きい

昨今は、頭金なしでも住宅ローンを組める「フルローン」と呼ばれる商品があります。また、購入時の諸費用まで含めて融資を受けられる「オーバーローン」も利用可能です。

フルローンやオーバーローンの審査を通過できさえすれば、頭金が全くない人でも住宅ローンを組むことができます。

しかし、頭金を用意しているときと比べて借り入れ額と返済額が増えるため、審査が厳しくなるのが一般的です。

無事に審査を通過できても、頭金分まで借りたことで毎月の返済額が高くなり、返済できなくなるリスクが生じます。万が一返済ができなくなるとマイホームを手放すことになり、マイホームだけでローン残債を完済できない場合は自己破産になることも考えられるでしょう。フルローンに頼らないよう、今のうちに貯蓄を増やしておきましょう。

現金を用意する際は頭金2割だけでなく、諸経費も計算に入れる

一般的に、頭金の目安は「購入価格の2割」といわれています。しかし、頭金2割だけを目的に貯金をするのはおすすめしません。

住宅の価格だけでなく、購入時に発生する諸経費まで事前に用意しておくことが重要です。

人によって異なるものの、一般的に必要な購入時諸費用と価格の目安は以下のとおりです。

諸費用相場
不動産取得税固定資産税評価額の3%※減税措置あり
登録免許税固定資産税評価額の0.1~2%程度
印紙税売買価格によって異なる例:物件の売買価格が1,000万円超~5,000万円以下の場合は「2万円」
司法書士への報酬10万円前後※司法書士事務所ごとに異なる
固定資産税・都市計画税の精算金固定資産税評価額の6分の1×1.4%(標準税率)の日割り金額
仲介手数料物件価格×3%+6万円+消費税
修繕積立金※マンション購入する場合マンションによって異なるが、20~30万円前後

上記のほかにも、引っ越し代や家具・家電の購入費用など、新築でも物件価格の5~10%くらいはみておくほうが良いでしょう。

市場金利の動向を考えて住宅ローンの金利タイプを選ぶ

住宅ローンの金利には「固定金利」「変動金利」「固定金利選択型」の3つがあります。

ニュースなどをよく見て金利状況を確認し、今後の金利の動き方に適している種類を選択することが大切です。

例えば金利が急上昇しそうな局面では、契約時の金利がずっと固定される固定金利が向いているでしょう。逆に金利が下がる局面であれば、市場金利に連動して適用金利が下がる変動金利の方が向いています。

あるいは、ご自身が金利上昇のリスクに耐えられるかどうかも判断材料になるでしょう。

住宅ローンの返済と生活費、教育費用などで生活費に余裕がなく、金利上昇リスクに耐えられる自信がない人は固定金利の方が向いている可能性があります。

借入時の年齢や定年によって返済期間の設定を決める

住宅ローンは数千万円の高額なローンを組むため、返済期間が20~30年、人によっては最長35年になる可能性もあります。

ただ、将来に定年退職したあとまで返済を続けるのは、老後生活の大きな足かせになるでしょう。返済期間を決めるときは、借り入れ時の年齢から定年までの年数を考慮し、可能であれば現役世代のあいだに完済できるような設定にすると安心です。

住宅費用だけでなく「外構」の費用も計算に入れる

マイホーム資金について「物件の価格」「購入時の諸費用」が最初に必要と解説してきました。

ただし、一戸建てを建てる場合には建物以外にも「外構(塀や門、庭、植栽、車庫など、建物の周りのこと)」を整備する費用の準備が必要になるケースがあります。

すでに完成された建物が売りに出される分譲住宅では外構はすでに完成していますが、土地を購入して建物を建築する「注文住宅」では建物以外に土地にアスファルトやコンクリートを敷いて駐車場にしたり、門扉を設置したりといった追加工事が必要です。

外構にかかる値段は「どのような庭にしたいか」でも異なります。建物の見積もりを依頼する際に忘れずに外構の見積もりも依頼し、建物の費用に含めましょう。

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マイホーム資金を貯めるコツ・ポイント

マイホームを購入したあとの返済負担や維持費のことを考えると、計画段階で少しでも多くの現金を用意しておきたいところです。

最後に、マイホームの頭金や購入後の維持費などに使うための現金を確保するためのコツ・ポイントをご紹介します。

収支状況を見直して支出を切り詰める

マイホーム資金を貯めるために、現在の支出を見える化し、削減できるものはどんどん削減する方法が有効です。

特に簡単で効果が大きいのが固定費の削減です。サブスクリプションやスマートフォンの月額料金、Wi-Fiの月額料金、保険料など、毎月固定で支払っている固定費は一度見直せば節約効果が継続して続きます。

キャリアスマホを格安SIMや格安スマホに切り替えるだけで月に3,000~5,000円を節約することも可能です。これだけで年間6万円を節約でき、全額を貯金すれば目標の頭金に大きく近づくでしょう、

先取り貯蓄や財形貯蓄を活用する

どうしても貯金が苦手で、お金があると使ってしまう方は、給与から天引きされたり口座から自動的に貯蓄されたりする仕組みを利用するのがおすすめです。

例えば「財形貯蓄」。勤務先が制度を導入していることが条件ですが、財形住宅貯蓄を利用することで「財形年金貯蓄と合算して預入額と利子の合計が550万円までは利子が非課税」となります。

そのほか、給与が振り込まれたあとに自動的に口座から一定額が引き落とされて定期預金として積み立てられる「積立定期預金」もおすすめです。口座間を移動させる手間がなく、定期預金なら簡単には引き出せないのでコツコツと貯金を増やせます。給与を引き出す前に一定額を積み立てる先取り貯金なら、確実に目標額を毎月貯められるでしょう。

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まとめ:マイホーム資金は現金とローンをバランスよく組み合わせて準備しよう

住宅購入には、物件の購入費だけでなく、購入時の諸費用や外構費用、引っ越しや家具・家電の購入費用など、さまざまな費用が発生します。住宅ローンで借りることもできますが、返済額を抑えるためにも頭金にあたるお金の準備も必要です。

マイホーム資金の準備を始める際は、可能な限りの現金を頭金として準備し、住宅ローンは計画的に返済出来る金額のみ借りるようにシミュレーションしたうえで申し込みましょう。

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著者

柴田 剛秀

柴田 剛秀(シバタタカヒデ)

大手来店型保険ショップに8年間勤務。
1000組以上の保険相談・資産運用・ライフプランニング
をしてきました。
これまでの経験を活かし、特定の商品にこだわることな
く真のライフパートナーとして、お客様にとって大切な
現在・未来の安心をご提供致します。
妻(同い年)・長男(10歳)・長女(5歳)の4人家族
【経歴・資格】AFP・宅地建物取引士
【得意分野】資産形成、資産運用、生命保険、不動産投資
【趣味】漫画、テニス