「貯蓄2,000万円あるなら、資産運用すべき?それとも預金で置いておくべき?」
「金融知識もないのに投資に手を出して、大きな損失を被るのはいやだな……」
このような悩みを抱えていませんか?
投資未経験で2,000万円の貯蓄があるあなたは貯金体質が身についており、堅実な生活を送れているのでしょう。しかし、老後にゆとりある生活を送るためには、2,000万円は決して十分な資産とはいえません。
現在の日本は、継続した物価上昇・賃金の伸び悩みにより、将来の予測が困難な状況です。このような状況であるからこそ、お金に働いてもらう資産運用は有効な対策となります。
そこで今回は「貯蓄2,000万円を資産運用するメリット」・「リスク・リターンのレベルごとの運用方法」についてご紹介。資産を効率よく運用するポイントも併せて解説するので、この記事を読めばあなたに合った運用方法がわかるでしょう。
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貯蓄2,000万円を資産運用する3つのメリット
貯蓄で2,000万円を保有している人は、多くありません。金融広報中央委員会の調査によると、金融資産2,000万円以上の割合は単身世帯において20~40代では10%以下です。2人以上世帯では、単身世帯よりも割合は上昇するものの、大差はありません。(参照元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査|令和4年」)
しかし、少数派とはいえ、貯蓄2,000万円あっても老後資金が十分とはいえない現状があります。まずは、貯蓄2,000万円を資産運用するメリットをご紹介します。2,000万円の資産を運用するメリットは、以下の3つです。
2,000万円の資産を運用するメリット:
- インフレによる資産の目減りのリスクが抑えられる
- 老後に向けた資産形成に役立つ
- 不労所得が得られる
それぞれ詳しくみていきましょう。
①インフレによる資産の目減りのリスクが抑えられる
2,000万円の資産を運用するメリットの1つ目は、インフレによる資産の目減りのリスクが抑えられることです。日本銀行は、毎年2%までの物価上昇を目標に設定しています。(参照元:日本銀行『2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」』)
実際、消費者物価上昇率は2023年度2.8%、2024年度1.6%です。しかし、賃金上昇率は物価上昇率に追いつかない状況が続いています。
最も高いネット銀行での定期預金金利は0.3%程度、メガバンクや普通預金口座の金利は0.001%~0.002%です。物価上昇によって、お金の価値が下がるインフレが起こっている状況では、預金だけで対応できるとはいえません。そのため、資産運用を行なって資産の目減りのリスクを抑える必要があります。
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②老後に向けた資産形成に役立つ
2,000万円の資産を運用するメリットの2つ目は、老後に向けた資産形成に役立つことです。
令和4年度の生活保障に関する調査によると、夫婦2人の老後の日常生活費は最低でも月額平均23.2万円必要とあります。(参照元:生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」)老後を20年間とすると、23.2万円×12か月×20年=5,568万円、1人あたり2,784万円が必要です。
ゆとりある老後生活を送るためには、月額平均37.9万円。つまり、20年間で37.9万円×12か月×20年=9,096万円、1人あたり4,548万円必要です。
令和5年度において国民年金を満額で受け取る場合、795,000円支給され、20年間受給すると1,590万円。(参照元:日本年金機構「老齢年金ガイド令和5年度版」)貯蓄が2,000万円ある人の老後資金は、貯蓄2,000万円+国民年金1,590万円=3,590万円になります。
退職金や厚生年金のない自営業者は、ゆとりある老後を送るためには958万円不足します。すでに貯蓄額が2,000万円あったとしても、現状に満足せずにさらなる効果的な資産運用を検討する必要があります。
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③不労所得が得られる
2,000万円の資産を運用するメリットの3つ目は、不労所得が得られることです。不労所得とは、自らが働かなくても得られる所得のことです。
例えば、株式投資・投資信託・FX(外国為替証拠金取引)・マンション投資・駐車場経営などが挙げられます。株式投資では、買ったときの株価よりも値上がりすれば、値上がり益が得られます。また、一定の期間、株式を保有することで配当金を分配されたり、株主優待を受けられたりする点も魅力的です。
税制優遇措置が受けられるおすすめの資産運用
金融類似商品の収益には、基本的に所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%の計20.315%の税金がかかります。(参照元:金融広報中央委員会「金融商品と税金」)資産運用にはいくつか運用方法がありますが、なかには税制優遇措置が受けられる資産運用方法があります。税制優遇措置のある資産運用は、以下の2つです。
税制優遇措置のある資産運用:
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
- NISA
iDeCoとNISAは、日本政府が推進している個人資産運用方法です。国民に投資を浸透させるために、本来国が取るべき20.315%の税金をゼロにしている点が特徴です。それぞれについて、具体的にみていきましょう。
①iDeCo(個人型確定拠出年金)
税制優遇措置のある資産運用の1つ目は、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoは、自身で申込み・掛金拠出・運用方法選択を行なう任意加入の私的年金制度です。国民年金の第1号・第2号・第3号被保険者の加入区分にかかわらず、20歳以上65歳未満のすべての人が加入できます。
最大の特徴は、掛金・運用益・給付受け取り時に税制上の優遇措置が受けられる点です。掛金は全額所得控除の対象となり、運用益は非課税、さらに受け取り時には公的年金等控除または退職所得控除の対象になります。掛金は65歳まで拠出でき、60歳以降に老齢給付金として受け取れます。原則として、60歳になるまでは資産を引き出せないため、無理のない範囲内で掛金額を設定しましょう。
②NISA
税制優遇措置のある資産運用の2つ目は、NISAです。NISAは少額投資非課税制度を指し、毎年一定金額の範囲内であれば購入した金融商品から得られた利益は非課税となる制度です。
2023年までのNISAは、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAの3種類。それぞれ非課税保有期間・年間非課税枠が異なります。
2024年以降のNISAは、つみたて投資枠と成長投資枠の2種類です。2023年までのNISAは、一般NISA・つみたてNISAのどちらかの口座しか開設できません。しかし、2024年以降のNISAは、つみたて投資枠と成長投資枠の同時併用が可能になります。
非課税保有期間が無期限化され、口座開設期間が恒久化される点も相違点です。(参照元:金融庁「新しいNISA」)2023年中にNISA口座を開設すれば、2024年に自動的に新NISA口座が開設される点も覚えておきましょう。
ほったらかしでお金を増やすローリスクローリターンの資産運用
資産運用を行なう際、金融商品にはリスクとリターンがあることを覚えておかなければなりません。リターンは資産運用で得られる利益、リスクはリターンが予測できないことを示します。
リスクとリターンは表裏一体であり、比例関係といわれます。まずは、ほったらかしでもお金を増やせるローリスクローリターンの資産運用についてみていきましょう。
ローリスクローリターンの資産運用:
- 個人向け国債
- 貯蓄タイプの生命保険
低いリスクではリターンも低下するため、ローリスクローリターンの商品はあまり金利が高くありません。ローリスクローリターンの資産運用は、個人向け国債と貯蓄タイプの生命保険です。それぞれ詳しくみていきましょう。
①個人向け国債
ローリスクローリターンの資産運用の1つ目は、個人向け国債です。個人向け国債とは、個人でも購入しやすいように工夫された国債のことです。変動10年・固定5年・固定3年の3種類から選択し、1万円から購入できます。年率0.05%の最低金利が保証されており、元本割れもありません。
何より、国が発行しているため安心して始められます。国債発行後1年以上経過すれば、満期前であっても請求に応じて国が買い取る中途換金の制度もあります。ただし、直前2回分の税引前各利子相当額×0.79685が差し引かれるため、中途換金する際は気をつけましょう。
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個人向け国債の2つのリスク!購入する3つのメリット・3つのデメリットを解説
②貯蓄タイプの生命保険
ローリスクローリターンの資産運用の2つ目は、貯蓄タイプの生命保険です。生命保険には万が一の際の保障機能を備えながら、貯蓄できる貯蓄タイプの生命保険があります。具体的には、終身タイプの死亡保険・養老保険・介護保険・学資保険・こども保険・個人年金保険などです。
貯蓄タイプの生命保険は、解約時または満期時に、解約返戻金や満期保険金などを受け取れます。掛け捨て型の生命保険に比べて保険料は高くなるものの、保障と貯蓄の両方を同時に得られる魅力があります。
長期投資で利益を得やすいミドルリスクミドルリターンの資産運用
次に、長期投資で利益を得やすいミドルリスクミドルリターンの資産運用についてみていきましょう。ミドルリスクミドルリターンは、大きな成果は得られないものの、手堅い成果は望めることを指します。ミドルリスクミドルリターンの資産運用は、以下の2つです。
ミドルリスクミドルリターンの資産運用:
- 上場投資信託(ETF)
- 不動産投資信託(REIT)
不動産投資は、会社員や自営業者の初心者でも始めやすいといわれています。それぞれ詳しくみていきましょう。
①上場投資信託(ETF)
ミドルリスクミドルリターンの資産運用の1つ目は、上場投資信託(ETF)です。上場投資信託(ETF)とは、特定の相場指標に連動するように設定された投資信託で、証券取引所に上場しています。一般の投資信託との主な相違点は、以下のとおりです。
- 取引時間内であればいつでも時価で売買可能
- 指値注文・成行注文が可能
- 信用取引が可能
- どの証券会社を通じても売買可能
- 購入時・保有時の委託手数料が比較的安価
上場投資信託(ETF)の約70%の銘柄は、最低投資金額が2万円以下で購入できるため、複数銘柄への分散投資をおすすめします。
②不動産投資信託(REIT)
ミドルリスクミドルリターンの資産運用の2つ目は、不動産投資信託(REIT)です。不動産投資信託(REIT)は、不特定多数の投資家から集めた資金を土地・賃貸ビル・マンションなどに投資します。おもに賃料収入の利益を追求して、投資家へ配当していく投資信託です。
しかし、不動産投資信託(REIT)は、不動産市況の変動によって利回りを確保できない可能性もあります。地震などでビルが倒壊すれば、分配金が支払われないといったリスクも併せ持つことを覚えておきましょう。
短期での利益も見込めるハイリスクハイリターンの資産運用
最後に、短期での利益も見込めるハイリスクハイリターンの資産運用についてみていきましょう。ハイリスクハイリターンは高い成果が期待できますが、リスクも高くなるため投資した資金が返ってこない可能性もあります。ハイリスクハイリターンの資産運用は、以下の2つです。
ハイリスクハイリターンの資産運用:
- 株式投資
- 先物取引
最もハイリスクハイリターンなのは、FXです。FXとは、Foreign Exchangeの略となり、外国為替証拠金取引のことです。日本円から米ドルなど、通貨を売買した際に生じる差額によって利益を狙う取引をいいます。
①株式投資
ハイリスクハイリターンの資産運用の1つ目は、株式投資です。企業が活動するためには、研究開発費・設備費・人件費など、多額の資金が必要です。そのため、株式会社は株式を発行して出資者(株主)を集め、事業資金を調達します。株式投資の魅力は、値上がり益・配当金・株主優待の3つです。
現在の上場企業は、1単元=100株が最低売買単位です。株式投資は多額の資金がなければ、取引できないと思っている方も多いでしょう。
しかし、東京証券取引所の上場銘柄において、全体の約40%である約1,500社は10万円以下で購入できます。株価は値下がりすることもあることを念頭に、株式投資を行なう資金は、長期間運用できる余裕資金で行ないましょう。
②先物取引
ハイリスクハイリターンの資産運用の2つ目は、先物取引です。先物取引では、価格が決まっていない未来の株を取引します。ある商品を将来の一定期日または一定期間内に、あらかじめ取り決められた条件で売買することを約束する取引となります。事前に売買価格や数量を約束しておくことから、将来の価格変動による損失を回避できるはずです。
先物取引は、大きな額で資金効率の高い運用ができますが、証拠金という担保の差し入れが必要です。利益が大きくなることもあれば、損失が大きくなることもあります。予想を上回るスピードで価格が変動するため、初心者が始めるには少額から始めるなど注意しなければなりません。
2,000万円の資産を効率よく運用する2つのポイント
貯蓄2,000万円を資産運用するメリットとリスク・リターンレベル別の運用方法がわかりました。ここでは、2,000万円の資産を効率よく運用する2つのポイントについて解説します。
効率よく資産運用するポイント:
- 複利効果の恩恵が受けられる商品を選ぶ
- 購入のタイミングや商品を分散する
貯蓄2,000万円の資産を形成できた時期が30代であれば、長期的な視点で資産運用を行なえます。40代・50代・60代では、リスクを抑えながら運用するなど、資産を減らさないようにしなければなりません。
どのような金融商品をどれくらいの割合で保有するか、具体的に検討していくことをおすすめします。
①複利効果の恩恵が受けられる商品を選ぶ
効率よく資産運用するポイントの1つ目は、複利効果の恩恵が受けられる商品を選ぶことです。複利とは、元金のみではなく、その利子も含めた元利金に利子がつく状態のことです。
複利はお金を増やす力が大きく、利子がさらに利子を呼ぶため、雪だるま式に資産が増えていきます。複利運用可能な金融商品は、投資信託・ロボアドバイザー・株式累積投資です。
複利効果を活用するには、長期に投資する必要があります。長期投資は、何年以上という定義はないものの、一般的には、数年~数十年の期間をいいます。特に初心者が行なう投資は、リスク軽減にもなる長期投資が基本となる点を覚えておきましょう。
②購入のタイミングや商品を分散する
効率よく資産運用するポイントの2つ目は、購入のタイミングや商品を分散することです。購入のタイミングが1回の場合、そのあとに価格が下落すると株価が高値をつけたところで買ってしまうリスクが高くなります。しかし、購入のタイミングを分散させれば、株価のピーク時に買ってしまうリスクを低減できます。
また、商品を分散することも重要です。複数の銘柄に分散投資することで、1つの銘柄が値下がりしても、ほかの銘柄で補完でき、全体としてリスクを低減できます。
まとめ:賢く資産運用をして将来に備えよう
2023年9月時点で物価高は継続しています。物価が上昇することでお金の価値は下がるため、低金利が続く預金だけで物価上昇に対応することは困難です。
貯蓄2,000万円で安心することなく、貯める重視の預金から増やす重視の投資へ目を向けて資産運用を始めてみましょう。貯蓄1,000万円でも資産運用できますが、2,000万円あれば資産運用の幅が広がり、より多くの金融商品に分散投資できます。
今ある資産を守りながら、将来の老後資金を確実に運用していくため、最初の段階は小額から運用を始めてみることが重要です。不確実性の時代を生き抜くために、賢く資産運用をして将来に備えましょう。